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【初心者必見】どうしてリアルに描けない?鉛筆画初心者がやってしまう5つのミス その④

初心者がやってしまうミスその④

描く環境が安定していない

 

皆さんはどのような場所で鉛筆画を描いていますか?

リビングでお茶を飲みながらリラックスして描くこともあれば、受験勉強のようにデスクに向かって黙々と描くこともあるかもしれません。

 

今回の記事は鉛筆画を描く環境についてのお話です。

前回までの記事と比べると重要性はやや低くなるかもしれませんが、意外と盲点になる内容なので一緒に確認していきましょう。

 

あなたが描いた鉛筆画を一枚手元に用意してください。これから始める方はその辺の紙に2B位の鉛筆でちょっと塗ってみて下さい。

 

私も検証の為に描いてみました。謎の球体です(笑)

普通に部屋の中で見るとこんな感じです↓

 

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明るい窓の近くで見てみるとこんな感じになります↓

 

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どうでしょう?

光の当たり方によって鉛筆で描いた部分の濃さや階調がかなり変わって見えるのがわかるのではないでしょうか。

 

そうなんです。鉛筆画は光の当たる角度によって見え方がかなり変化します。

反射してしまって黒く描いた部分が白っぽく見えたりしてしまうんです。

これがけっこう厄介で、描いている最中は気付かないのに完成した絵を別のところに持っていくと、「あれ?なんかイメージと違う」なんてこともありますね。

 

鉛筆の種類や描き方によって反射する度合いが変わります。

私は鉛筆画が反射することを「テカリ」と呼んでいますが、鉛筆画においてこのテカリが起きてしまうのは仕方がないことだと考えています。

鉛筆ごとの反射率などの詳しいことは別記事で詳しく解説するつもりですが、これは芯の材質が関係しており、カーボン鉛筆は反射しづらい等の特徴があります。

 

鉛筆画を始めたばかりの方は「だから?何?」と思われるかもしれませんが、この鉛筆の反射と描く環境の注意点というのは重要な関係があります。

 

今回の記事の本題である、描く環境が安定しないというのは、

 

鉛筆画を描く場所の光が安定していない

 

ということです。

 

初心者の方に対してですが、慣れてくるまで鉛筆画を描く場所は毎回同じ場所で描きましょう。そして絵に当たる光はできる限り毎回同じ状況にしましょう。

ほとんどの方がご自宅で描いているかと思いますが、窓のすぐ近くなどで描いてしまうと天気や時間によって日の光が変わってしまうのでお勧めしません。

 

また、紙全体に均一の光が当たるようにしましょう。

特に注意したいのがデスクの上で描く場合ですが、卓上照明などを置かれている方は、紙の片方だけ強い光が当たる等のことが起こらないように照明の位置に注意しましょう。

 

こういったことを意識せずに鉛筆画を描いていると、見るたびに濃さが変わって見えてしまい、本来修正しなくていい場所を修正してしまったり、絵の箇所ごとに明るさが違う変な絵になったりする可能性があります。

また、鉛筆ごとのの基本的な濃さを理解することの妨げにもなってしまいます。

 

少し余談になりますが、絵に当たる光を意識するというのは、絵画全般で非常に重要なことのようです。

描く時に描写を安定させるという目的はもちろん、個展や展示会で絵を展示するのにあたって、光の量や角度でどのような見えるかを理解しておかなければ、作品の価値を下げる可能性すらあります。

私が油絵を教わっている先生は、絵の展示会場とアトリエの環境を可能な限り近くする為に、元々あったアトリエの光源を一式別のものに交換したそうです。

 

私が描いている環境は自室で、絵を描くためのデスクに座った際にやや後ろの天井側から光が照らされるようなっており、デスク上には位置を移動できる間接照明が一つあります。

 

また、原画の写真や画像に対しても同じことが言えます。

何かしらの原画を観ながら描くことになるわけですが、この原画を置く位置やモニターの角度等についても毎回できる限り同じにしましょう。特にモニターで確認しながら描く場合はモニターの輝度を一定にしておく必要があります。

私の場合はほとんどモニターを見ながら描いているのですが、描きやすくする為に元データと併せて元データをモノクロ化し、明るさとコントラストを調整したデータの2枚を参照しながら描いています。

これらデータを表示するためのソフトも毎回同じにしており、できる限り同じ見え方になるように工夫しています。こういったことも環境を統一させるということの一つと言えるかと思います。

 

この記事はあくまで描く環境を統一させることの重要性をお伝えしているので、鉛筆が反射する理屈については深く触れていませんが、これについては私自身もまだまだ理解できていない部分が多いです。

複数の鉛筆で同じ個所を重ねて塗ったりした場合や、塗った部分を綿棒などで擦った場合に反射が変化するので、把握しながら描くことは困難だと思っています。

 

今回は絵を描く環境についてお話しました。

皆さんがより充実した鉛筆画ライフを過ごせることを祈っています。

 

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【初心者必見】どうしてリアルに描けない?鉛筆画初心者がやってしまう5つのミス その③

鉛筆初心者がやってしまうミスその③

鉛筆の使い分けができていない

 

皆さんは鉛筆の種類がどれだけあるかご存じでしょうか?

5種類?10種類?

いえいえ、もっとあります。

 

なんと!

22種類もあります!!

 

※2020年の時点。現在は更に種類が増えています

細かく分けるともっとあります。

小学生の時に使用したのはせいぜい3~4種類だと思いますが、デッサンや鉛筆画を目的とした本格的な鉛筆は、硬さ(濃さ)が少しずつ異なる鉛筆が様々あります。

鉛筆には硬さがあり、その硬さによって描いた際の濃さが変化します。

鉛筆の端っこの方にあるアルファベットと数字がその鉛筆の硬さを示しています。

22種類というのは具体的に次のようになります。

 

・H~10H

・B~10B

・HB

・F

 

HはHard(硬い)という意味で10Hが最も硬く、最も薄く描写することができます。

BはBlack(黒さ)という意味で10Bが最も柔らかく、最も濃く描写することができます。

HBはHardBlack、FはFarmの略称でどちらもHとBの中間の濃さですが、Fの方がやや硬いです。

分かりやすく硬い順(薄い順)に並べると

10H~H → F → HB → B~10B

 

鉛筆画は基本的にこれらの硬さの異なる鉛筆を使い分けで描いていくことになりますが、初心者の方はこう思うはずです。

 

「そんなたくさんの鉛筆使い分けられないよ!」

「気軽に始めたいのに22本も揃えないといけないの?」

 

大丈夫です。そんなに使わないので安心してください。

むしろ最初は少ない種類で練習した方が上達も早くなります。

私がお薦めする鉛筆は後ほど紹介いたします。

 

初心者の方が失敗する理由として、

・鉛筆を取り換えるのが面倒で、少ない種類の鉛筆で描こうとしている

・それぞれの鉛筆の特性を理解していないのに、たくさんの種類を使いすぎている

 

これらが挙げられます。

 

 鉛筆選びをしっかりしないとせっかく丁寧に描いても台無しです。

鉛筆を削るのがめんどくさいからといって、横着しないようにしましょう。

 

さて、じゃあ私がお薦めする鉛筆を紹介しましょう!

一通り使った上での紹介ですが、完全に独断と偏見なので、もし上級者の方々がこのページを見て「こいつ適当なこと言ってんな~」と思っても見逃してやってください><

 

私は普段ステッドラー社の鉛筆とシャーペン(他社)しか使っていません。

・マルス ルモグラフ 4H~2B 

・マルス ルモグラフ ブラック 6B・8B

・0.5mm以下のシャーペン 3本 HB・B・2B

 

ほとんどの絵はこれらで描き上げています。

マルス ルモグラフ ブラック 6B・8Bはカーボン鉛筆という種類の鉛筆で暗部のグラデーションを作るのに適しています。

写真のように仕上げたい場合、深い黒をしっかり黒く表現することは重要で、特に黒髪を描くときはこれらのカーボン鉛筆を重宝します。

私はこの鉛筆で髪を描くのが大好きで、一番消費が激しい鉛筆はルモグラフブラック8Bになります。

 

というのもこの鉛筆、しょっちゅう折れるんですよw

ただでさえ使用頻度が高いのに、削った直後に根元からボキッっとね。。。折れた芯が顔の部分で擦れた日にはこっちの心が折れそうになります。

まぁ元々軟らかい鉛筆だから仕方ないのかもしれませんし、私の削り方や筆圧に問題があるのかもしれません。

ステッドラーさん、もしこの記事を見てくれていたら濃さはそのままで強度だけ少し改良してほしいです(←見てるわけない)

 

明るいところの階調を作る場合、2Hより硬い鉛筆を使用しなければいけない場合はありますが、初心者の方にはお薦めしません。

硬い鉛筆は筆圧が強いと紙を痛めやすいんです。

紙に変な跡がついてしまうと修正が難しい為、最初は2B位の柔らかい鉛筆から練習すると良いでしょう。

 

本格的に鉛筆画をやる場合、鉛筆はステッドラー社のルモグラフか三菱のハイユニのほぼ2択だと思います。冒頭で鉛筆の種類は22種と説明いたしましたが、ハイユニはちゃんと22種あるのに対し、ルモグラフは20種類(10Hと10Bがない)となります。

※2021年7月追記

現在、ルモグラフは12Bまであります

 

その代わり(?)ステッドラー社はルモグラフブラックが4種あります。

 

ハイユニもいいと思います。描き心地とてもいいですし。

私がステッドラーを選んだ理由は2つあります。

 

一つ目はルモグラフブラックがあること。

二つ目は・・・

 

名前とデザインがかっこいいから!!

 

私が鉛筆画を始めようと、何も知らずに世界堂さんに行った時に目に留まったのがマルスルモグラフだったわけですね。

高級鉛筆!渋いブルーのデザイン!ドイツ製!

形から入るタイプなので、これだ!と思って購入したわけです。

それ以降、こればっかり使ってます。

 

それだけ?

はい。それだけです。

 

でもね、何かを創る時に道具に愛着があるって結構大事だったりするんですよ。

いい道具を使っていると、創作意欲が湧くというかテンションが上がるというか。

それに同じ道具を使い続けた方が学習しやすいですし。

結局ハイユニとか他の鉛筆を試したのは鉛筆画を始めて1年以上後になります。

 

また手持ちの8Bがなくなりそうだから買ってこないとなー。通販でもいいけど画材店行くとテンション上がるから行ってこようかなー。

 

・・・あれ。この記事なんの話してたんでしたっけ?

 

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【初心者必見】どうしてリアルに描けない?鉛筆画初心者がやってしまう5つのミス その②

初心者がやってしまうミス②

正確にトレースできていない。想像で描いてしまっている

 

トレース?いきなり何言ってるの?インチキじゃん!

 

はい、そう考える方はこのページを閉じましょう。

どうも絵を描く方の中にはトレース(模写)に対して否定的な考え方を持つ方が多くいますが、私は作品を作る技法としてトレースすることは間違っているとは考えません。

 

もちろん、他の方が描いた絵やイラストの構図をそのままトレースして「これは自分が考えた作品だ!」というのは著作権侵害となりますのでアウトです。

著作権やパブリシティ権等についてはここでは割愛しますが、鉛筆画を描く上で写真をトレースする行為は一つのテクニックと言えます。

この技法はダメ!この描き方は邪道!

こういったものは全て先入観です。アートの世界で一番要らない考え方です。

 

絵画は結果が全てです。

完成した絵を見た人が絵を評価する際に、あなたがどのような方法でその絵を描いたのかは関係ありません。

トレースに限った話ではありませんが、良い作品になると思うのならどんな方法でも使いましょう。

 

少し余談になりますが、どうも日本人は絵の評価をするにあたって、画家と作品を併せて評価する傾向が強いようです。

音楽の世界で歌と歌手の人物像、ビジュアル等を併せて評価されることが多々あるのと似ているのかもしれません。

絵の作者の人物像、人間性はプロとして絵を売るのなら意識するべきですが、それは絵の描き方以外の部分でアピールしましょう。そういったことを気にしすぎて表現の幅が狭くなっては本末転倒です。

 

話を戻します。

私が一番最初に描いた鉛筆画はA4のモノクロ写真を用意し、それを正確にA4のケント紙に模写するというものでした。ただし、トレース台などの道具は使用せず元写真の構図を全て定規で測り、正確に描き写すというものです。

 

鉛筆の扱い方をじっくり練習したかったのでこの方法をとりましたが、これ以降はこんな面倒な描き方はしていません。トレース台等でトレースしても結果は変わらないと確信したからです。だからこれから始める方はこんな苦行はしなくて大丈夫です(笑)

 

トレースの方法もいくつかあります。

・トレース台(ライトボックス)を使用

・画像を表示したモニターに紙を張り付ける

・プロジェクターを使用

 

それぞれ絵の種類や大きさによってに描きやすい組み合わせがありますが、私はモニターに張り付ける方法が多いです。

プロジェクターは大きい紙にトレースする際に便利ですね。

トレースする際はに使用するのは細めのシャーペンがお薦めです。

後から消すこともよくあるので、2Hくらいの硬さで描きましょう。

 

トレースを行うにあたって全ての箇所を写す必要はありません。

輪郭線を正確に写し取ることを意識しましょう。

細かい毛や輪郭がはっきりしない部分はトレースできないこともありますので、描いてる最中に位置関係がわかるように薄く目印をつけておくといいです。

例えば光が当たっている髪の毛とか、服の細かいシワとかですね。概ねこの範囲からこの範囲という形で線を引いておくといいです。

 

絶対にトレースをミスってはいけないのは肖像画・似顔絵を描く場合です。

 

目、鼻、口などのパーツは1mmズレたら別人になると思った方がいいです!

 

人間の目は普段から見慣れているのもの程、違和感に気付くようにできています。人の顔はその代表格であり、僅かなズレでも敏感に反応します。

芸能人やモデルを鉛筆でリアルに描かれている方が多くいらっしゃいますが、99%の方が正確にトレースしているはずです。

やってる方はわかると思いますが、たかがトレースといっても結構難しいですし、神経使います。私は顔のトレースを行う際に少しでも曖昧な部分がある場合は念の為各パーツの長さや位置などを定規で測っておき、違和感に気付いた時点ですぐ修正できるようにしています。

また、人物画を描く場合は必ず顔から描くことをお薦めします。

腕とか髪の毛を先に描いてうまく描けたとしても、顔をミスったら絵として破綻しており、それまで描いた労力と時間は無駄になるからです。

 

先日、デッサンと鉛筆画の違いについてお話ししましたが、鉛筆画における下書きとは絵の輪郭線を取ることに当たります。

下書きなのでトレース台でやろうが、マス目をたくさん描いてトレースしようがその人の自由です。正確な輪郭線さえ取れればいいのです。

 

下書きが楽しいと感じられる方はそんなにいません。

どこをどれだけ細密に描き込むか?

どの部分をどの鉛筆で塗るか?

鉛筆画の本当に難しいところや楽しいところは輪郭を取り終わった後にあり、画家としての腕の見せ所は、トレースすることではありません。

 

それでも下書きが重要であることは間違いありませんので、うまく描けないという方はトレースの方法を見直してみてはいかがでしょうか。

 

皆さんの鉛筆画ライフが充実することを祈っています。

 

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