写実絵画を描く者にとって聖地とも言える美術館がある。
それが『ホキ美術館』だ。
ホキ美術館は2010年、千葉県千葉市に建立された美術館で、写実絵画の細密画を専門に収集・展示している美術館です。
私が鉛筆画を始めた時から美術館の存在は知っていましたが、結構遠路ということもあって行けずにいたんですよね。
また、2019年に豪雨による水害の被害にあっており、一年近く閉館していたということもあって行くタイミングがつかめなかったのです。
リアル系の絵を描く私としてはどうしても最高峰の写実絵画を観たかった。いや、観る必要があったのです。
昨日、ついに念願が叶いました。
車で約2時間、台風の中大変でしたが辿り着くことができました。
現在はコロナの影響で入場に予約が必要でした。
前日までにインターネットから要予約です。
独特なフォルムの建物の中に入ると最初に目に入ったのは注意事項の張り紙。
『カメラ持ち込み禁止』
肩から思いっきり一眼レフを提げている私は一旦退場となります(笑)
まあ、撮影ができないのは予想していました。
車に置いてきて再入場です。
入場料を払い、Galleryに向かいます。
さてさてどんな絵が並んでいるのやら。
・・・うん。
あー・・・。
・・・うんうん。
絵を言葉で表すのは難しいものです。
一言でいえば「全部すごい!」で片付いてしまうのですが、私はそれよりも大きな思考が頭を渦巻いていました。
これはどうやって描いているんだ?
そればっかり考えていました。
悲しいことに絵の本来の良さを堪能するよりも先に、技術的なことで頭がいっぱいになってしまうのです。
これは似た属性の絵を描く画家なら同じような思考回路になるのかもしれませんね。
どんな絵の具を使っているのか。
どんな支持体に描いているのか。
どの部分を丁寧に描いているか。
一つずつ噛みしめる様に鑑賞していきます。
人物、風景、静物、どの絵もリアルさに特化しており、まるでそれがそこに存在するかのようです。
2時間ほどかけて一通りの作品を鑑賞し終わりました。
満足したので帰路につきます。
車の中で今日感じたことを振り返りました。
自分は写真から絵画に移った人間なので、絵の作り方や考え方は極めて写真的だと思います。写真を完全に再現することこそリアルな映像になると思っていました。
しかしそれはどうやら違うようです。
今日観た絵は写真を超えた『リアル』があり、写真はやはり写真にすぎないのだと思います。
「まるで写真みたい!綺麗!」
「すごい細かい!写真と見分けがつかない!」
写実絵画を目指す上でこういった言葉をもらっても喜んではいけないと思いました。
そもそも写真はリアルな映像ではない。
これを理解できただけでも大きな収穫でした。
技術的な部分もかなり勉強させてもらったので今後の作品作りに役立てたいと思います。
ホキ美術館、すごい美術館ですよ!
リアル系の絵を描く方は、一度訪れることをお薦めします!