鉛筆画教室・ギャラリーの保谷アートスペース  

【現在改装中】西武柳沢駅より徒歩0分! 初心者でも鉛筆でリアルな絵を描く方法を丁寧に教えます。描いた作品をその場で展示できるギャラリーを併設しています。

【初心者必見】描いてみよう!鉛筆肖像画の制作工程⑤

鉛筆画制作工程 服の描写~仕上げ

 

こんにちは!

少し間が空いてしまいましたが、皆さん鉛筆画を楽しんでいますでしょうか?

私は新たな作品を描き始めてテンション↑↑です!そっちに夢中でブログが放置だったわけですが(笑)

 

さて、ざっくりと鉛筆肖像画の描き方を説明してきた本コーナーですが、今回の記事が最後になります。

ここまでの工程である程度鉛筆の扱いにも慣れてきたのではないでしょうか。技術的なことは繰り返していればいずれ身につくはずなので、鉛筆の選択や塗り方等、覚えた知識を忘れないようにしましょう。

 

前回は子供の服を描いていたところでしたね。

 

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ちなみに画像がちょっと傾いて伸びたように見えてしまうのはカメラのセッティングをミスったからです(泣)

言い訳になってしまいますが、こんな感じで撮影しています。

 

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子供の髪と服の描写

髪の描き方は母親側の際に説明しましたので、詳細は省きます。

赤ん坊の髪の毛は量が少ないので頭皮が見える範囲が広くなります。

元写真をしっかり見て頭皮が見える範囲を把握し、しっかりと肌の階調を作ってから髪の毛を描きましょう。

 

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ルモグラフブラック8B、6B、シャーペンで髪の毛を描写しました。

母親側の髪の毛と重なる部分は、子供の髪の毛の方が若干明るかったので消しゴムで消して境界がある程度わかるように調整しました。

 

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だいぶ進みましたね。

余談になりますが、夫婦・親子・カップル等、二人を一枚の紙に描く場合、どちらの人物を明るく描くかを意識すると良いですね。

この辺りは画家の感覚になりますが、一般的に男性よりも女性、親よりも子供、を明るく描いた方が相手に喜ばれると思います。

今回の絵も子供側を若干明るく描くことを意識しています。

 

さて、この絵ももうすぐ完成ですが、子供側の服がまだ半分残っています。

世の中には様々な服があり、素材、形、柄など多種多様ですが、多くの鉛筆画家さんを悩ませる服として『ニット』があります。

ニットは鉛筆で表現するのが難しく、本気で描こうとすると恐ろしく時間がかかります。

今回の子供の服には一部ではありますがニットっぽい部分が含まれます。

首の周りの白い生地ですね。

 

初心者の方には難しいと思いますが、一応ニットの表現方法を簡易的に説明するとこんな感じになります。

 

①縫い目の影を一つずつ2H~4Hほどの硬い鉛筆で薄く描く。根性が続く限り描く。

②描いた縫い目の上から練り消し、もしくは消しゴムを押し当てる(練り消しだと消えすぎるのでペンタイプの消しゴムの方が良いかも)

③わずかに薄くなった線に対し、①で使用した鉛筆よりも硬い鉛筆で上から描き、線の中心から外側に向かって僅かなグラデーションをかける。

 

上手くいかない場合は周りが汚れないように②と③を繰り返します。

影の面積にもよりますが、綿棒を使用すると鉛筆が伸びすぎてしまって周囲が汚くなることがあるのでお勧めしません。

また、ニットの服全体の外側は大体極細の毛に覆われているのでそういった部分も何らかの方法で白抜きする必要があります。

 

今回の絵に関しては幸いにも(?)面積が少ない上、そこまで軟らかい質感ではなかったので、ササっと仕上げていきます。

 

 

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分かりづらいと思いますが、描いた線に対して消しゴムを押し付けて薄くしています。

とりあえず、どのような縫い目になっているかがわかるように描写することを目標としましょう。

 

服を描き終わったら、ようやく完成!と言いたいところですが、まだ残っている箇所があります。

最後まで描かなかった母親側の右側の髪ですね。

このタイミングで描けば紙を汚さずに済みます。

 

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完成から最後の仕上げ

 

こちらが完成品となります!

 

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参考にしたのは以下の3枚の画像です。

 

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やや母親側のまつ毛が多かったのと、唇の濃さが足りなかったのが反省点ですね。

絵が完成したらどの部分が足りなかったのかを考察して、次の作品に活かせるようにすると上達が早くなると思います。

 

これにて終了!と言いたいところですが、最後にやることがあります。

鉛筆画は非常にデリケートで、ちょっとした摩擦などで鉛筆が伸びてしまったり薄くなったなったりしてしまいます。

 

完成した作品にはフィキサチーフをかけましょう。

フィキサチーフはいわゆる定着液で、これをかけておけば鉛筆が落ちづらくなります。

 

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画面より40cmくらい離し、画面と平行に移動させながら左右、上下、均一に吹き付けます。

薄く吹き付けるのがコツです。定着が弱い場合は二度、三度掛けます。一度に多量に吹き付けると液が流れたり、色が滲んだりすることがありますのでご注意下さい。

 

って、フィキサチーフの裏に書いてあります(笑)その通りに使用しましょう。

 

最後に

いかがだったでしょうか。

皆さんも鉛筆画が完成しましたでしょうか?

 

たかが鉛筆といっても意外と奥が深く、最初はうまくいかないかもしれませんが、繰り返し描くことで必ず上達します。

気軽に描き始められるというのが鉛筆画の魅力の一つでもありますので、今後も皆さんがたくさんの作品に挑戦できることを祈っています。

 

こういった内容を記事にするのは初めてで、説明がうまくできていない部分も多々あったかと思いますが、少しでも参考していただければうれしいです。

もしもこの記事を読んでいただけた方で、感想や今後記事にしてほしい内容などがございましたら、Twitterよ当ブログのお問い合わせよりいただけれるとうれしいです。

 

皆様の鉛筆画ライフが充実することを祈っています。

 

【初心者必見】描いてみよう!鉛筆肖像画の制作工程④

鉛筆画制作工程 髪の描写2段階目~服の描写

 

こんにちは!

今日も元気に鉛筆画を楽しんでいきましょう!

 

前回は顔の描写2段階目まで描きました。

 

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今日は髪の続きと服を描いていきます。

 

髪の描写2回目

 

先に髪を描きますが、このあたりの順番は前後しても問題ありません。

ただし、顔にかかっている髪は必ず顔の階調が完成していることを確認してから描きましょう。

顔の階調が完成していない状態で顔の上の髪の毛を描いてしまうと、後から顔の階調を整えるのは難しくなります。

また、顔の上の髪の毛を描くのに失敗して消しゴムをかけてしまうと、当然顔の階調も一緒に消えてしまいます。ここは一発勝負だと思って慎重に描きましょう。

 

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今回の場合は2Bのシャーペンだけで描けましたが、まとまった前髪等の場合はルモグラフブラックを使用する場合もあります。

滑らかな曲線を一発で描く自信がない場合は別の紙で曲線を描き、軽く手を慣らしてから描くのもよいかもしれませんね。

 

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ついでに光が当たっている髪のグラデーションも再度整えていきます。

言葉で説明するのは難しいですが、細かい線はシャーペン、階調を作る際は2H~2B、真っ黒なところはルモグラフブラック6B~8B、と鉛筆を使い分けます。

髪の毛はいくらでも時間をかけることができますので、納得するまで描いてみましょう。

 

服の描写

 

今回の絵は元々服がそれほど複雑ではないので、さっくり描き上げていきます。

服に関しては顔や髪と比べると重要度は低いですが、それでも雑に描きすぎるとそこに目が行ってしまいますので描くべきところだけはしっかり描きます。

 

ではどこをしっかり描くべきか?

それは、服のシワです。

 

シワの描写によってその服の質感や立体感は大きく変わります。

柔らかそうな服、ぴったりした服、人間がそう判断する上で服のシワによる効果はかなり大きいと言えます。

 

では描いていきましょう。

元の画像をよく見て、シワの長さや位置を間違えないように描いていきます。

 

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とりあえずこんな感じで場所や長さが把握できるようにHB位の鉛筆で描きます。

今回の絵は結構ぴったりした感じの服なのでシワは少ないですね。

シワのラインが描けたら、服全体の塗りに入ります。

顔を塗った時と同じように鉛筆を変えながら塗っていき、グラデーションをかける部分は綿棒で伸ばします。

 

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こんな感じで進めます。

母親側の服はたまたま無地でしたが、柄があった場合でも最初に全体の階調を整えるところは同じです。

私は鉛筆画を始めた頃、柄を全部残してその部分を避けながらグラデーションを作っていましたが、無茶苦茶時間がかかりますし、グラデーションが汚くなったのでこの方法に変えました。

結婚式用のドレスとか白を美しく残さないといけない場合は除いて、白抜きも後から消しゴムを描ける方法でいいと思います。

 

今回の制作工程の記事では子供側の描写については大幅にカットしようかと思いますが(母親側と大差ない為)、子供が着ている服には柄があるのでその部分はお話しします。

 

先述の通り、先にシワと全体の階調を描いてから柄を作ります。

細かいストライプ状の柄でしたので、柄のラインに合わせて消しゴムで消していきます。

 

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こんな感じで白抜きをした後に、再度鉛筆で描き込んでいきます。

 

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子供側の服はシワの隙間がかなり暗かったのでルモグラフブラックを使用しました。

服に限ったことではないですが、暗部はしっかりと黒で塗ると絵にメリハリが出ますし、リアルに見せるコツですね。

 

よくある構図として、肩に髪がかかっているケースがありますが、その場合も顔の時と同じように髪の奥側にある肩を先に描いた方がうまくいくと思います。

つまり、物体が重なっている場合は奥にあるものから描いていった方が良いということですね。

境界線がハッキリしているものはどちらから描いていっても問題ないですが、細かい髪の毛や服の毛とかが手前にある場合は奥側にあるものを優先して描くことをお薦めします。

 

今回は少し短いですが、これ位にしたいと思います。

おそらく今回の絵の制作工程は次回の記事が最後になるかと思います。

 

鉛筆画を始めたばかりの方で分からないことがあればお答えしますので、お気軽にブログ内のお問い合わせやTwitterのDMなどからご質問いただければと思います。

 

皆様の鉛筆画ライフが充実することを祈っております。

 

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【初心者必見】描いてみよう!鉛筆肖像画の制作工程③

鉛筆画制作工程 顔~髪の描写

 

こんにちは!

前回は人物の顔の描き方についてお話しましたので引き続き説明していきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

さて、前回は顔の第一段階目まで描きました。

 

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ここからの工程は人によってやりやすい、やりづらいがあると思いますので、記事を一通り読んでからやりやすい順番で描いてもいいかと思います。

 

髪の毛の描写

さてさてやってきました!

鉛筆画の鬼門ともいえる髪の毛の時間です!

 

構図にもよりますが、鉛筆で人物を描く際に一番時間がかかるのは髪の毛ではないかと思います。

特に女性を描く際は髪の毛を綺麗に描くことは重要です。

なんたって『髪は女性の命』ですからね!

 

早速描き始めたいと思いますが、その前に下の画像をご覧ください。

 

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モニターに映した元画像ですね。

右が補正無し、左が若干明るさを上げています。


前回の記事でもお話しましたが、写真やモニターの再現性には限界があります。

左の画像の方が髪の毛の階調が出ていますが、黒の締りがなくて若干眠い写真に見えます。それに対して、右の画像は黒がしっかり出ていますが階調が結構つぶれています。

 

ではどちらの写真を見ながら描けばいいのか?

 

答えは両方とも見るです。

 

もちろん画像によっては補正しようがない場合もありますし、1枚の写真から描ける場合もありますが、工夫によって得られる情報があるのならできる限り情報を集めてから描くべきです。

 

 

最初は難しいと思いますが、描けるところはできる限り描くという気持ちで進めるのが上達への近道だと思います。

 

では描いていきましょう。

ここで使うのはルモグラフブラック6B~8Bです。

とりあえずざっくり描いてみましょう。

 

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元の写真をよく見て、紙の流れに沿って描いていきます。

細かい髪の毛や毛先はこの段階では描きません。ある程度の明暗を意識しながらざっくりと描きます。

 

今回の画像にはほとんどありませんが、光が反射して白っぽくなっている部分はなるべくそのまま残しましょう。

これは画家さんによって白を残す派と消しゴムで消す派で別れると思いますが、私は白を大事にしたいので残す派です。写真によっては無茶苦茶時間がかかるやり方ですが、後から消す方法では完全な白を再現できないということだけ覚えておきましょう。

白抜きについてはまた別の機会にお話ししようかと思います。

 

暗い方の階調を作るために消しゴムを使うのはありです。

ペンタイプの消しゴムははさみやカッターで先端を簡単に切ることができます。

 

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まっすぐ切ったり、斜めに切って使いやすいように形を調節しましょう。私は斜めに切ることが多いですね。

ある程度ざっくり描いたら綿棒を使ってみましょう。

初登場の綿棒ですが、鉛筆の粉を伸ばして階調を整えるのに使用します。

基本的に暗い部分から明るい方に向かって鉛筆を伸ばします。


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言葉で説明するのは難しいですが、

 

・鉛筆で描写

・消しゴムや練り消しで薄くする

・綿棒で伸ばす、

 

これらを繰り返して少しづつ階調を整えていきます。

 

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進めていくとこんな感じになります。

まだまだ雑に見えますが、髪の流れと明暗がしっかりわかれば大丈夫です。

画像を見るとわかると思いますが、右側の髪はほとんど描写していないですよね?これは左側にまだまだ描写する箇所があり、左側を描いている最中に右側を汚したくないからです。

いくらビニールや下敷きを敷いて描いたとしても鉛筆の粉は若干伸びてしまいます。画像の右側はすでに若干汚れてますが、先に右側の髪を全部描いていたらもっとひどいことになっているはずです。

右利きの方は左側を優先して描くことを習慣づけましょう!

 

顔の描写 2段階目

髪をざっくり描いたら再び顔を描いていきましょう。

この段階で顔がほぼ完成になるまで描き込んでいきます。

 

肌に使用するのは2H~2Bの鉛筆もしくはシャーペン、瞳・鼻の穴など明らかに暗い部分のみ6B~8Bを使用します。

 

顔の肌も髪を描いた時と同じように綿棒と鉛筆を併用し、階調を作っていきます。

画像をしっかり見て、影の濃さや範囲を確認してください。

とにかくムラがないように鉛筆に力を入れず、ゆっくり丁寧に描いていきましょう。

 

どれだけ滑らかなグラデーションを作れるかが要となります。ここはどれだけ時間をかけても構わないという気持ちで臨みましょう。

 

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口や鼻もしっかり描いていきます。

細かい部分はシャーペンを使用しても構いません。

濃くなりすぎてしまった部分は軽く練り消しで薄くし、その部分だけ階調を作りなおしましょう。

 

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顎の影はしっかり描けると立体感が出ます。

描くのも難しくないので鉛筆画家としてはおいしい部分だと思います(笑)

 

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二つの画像のいいとこ取りのような形で描いてみました。

もうちょっと唇を濃くした方が良かったかもしれませんね。

 

少し似ていないのは、ほうれい線をあえて薄くしたためです。

女性を描く際にほうれい線とかシミとかを忠実に描いても喜ばれません。

肖像画を描くにあたって、リアルに描くことは確かに重要ですが、相手に喜んでもらえる絵が描けているかを忘れてはいけません。

 

今回はここまでです。

どうでしょう?肌の塗りはかなり難しかったのではないでしょうか?

滑らかなグラデーションを作るというのは全ての鉛筆画においてクオリティに直結するので何度でも練習しましょう。

 

皆様が充実した鉛筆画ライフを送れることを祈っています。

 

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