初心者がやってしまうミス その①
デッサンと混同し、デッサンの描き方で描いている
鉛筆画とはその名の通り『鉛筆で描いた絵画』のことであり、鉛筆による描写のみで絵画として成立しているものを指します。
鉛筆だけで描かれた絵画であればリアルでなくても鉛筆画といえますが、話がややこしくなるので、この記事ではリアルさを追求するという前提で話を進めます。
よく混同されるのが『デッサン』ですが、デッサンとは3次元のものを2次元に描き起こすための素描、いわゆる下書きです。
「絵画の基本はデッサンでしょ?」
「デッサンを極めればリアルな鉛筆画も描けるようになるんじゃないの?」
これから本格的に絵の勉強をしようとしている方はそう考えるかもしれません。
断言します。
デッサンを何度繰り返しても写真みたいなリアルな鉛筆画にはなりません!
デッサンは絵画全般においては超重要です。極めれば作品と呼べるレベルになると思いますし、デッサンがうまい=絵がうまいといっても過言ではありません。
しかし、リアルを求める鉛筆画においてデッサンの練習は必要ないですし、描き方に変な癖がつくのでむしろやらない方がいいぐらいです。
デッサンは作品の構図を画家自身が把握する為に行うことであり、目的はあくまで下書きです。下書きなのだからリアルである必要がありません(空間的にはリアルでないといけないかもしれませんが)
それに対して鉛筆画は鉛筆で描写した部分は全て作品の一部となります。下書きではありません。
つまり、デッサンと鉛筆画は鉛筆で絵を描くという行為は同じであるものの、目的が全く違う故、描き方も全く異なります。
鉛筆画のみ上達したいのであれば、デッサンとの区別を明確にしておくことは重要といえます。
現に私は本格的に鉛筆画を始めてから、まともにデッサンを行ったことは一度もありません。
というかできません。3次元を2次元にするとか、空間がどうだとか、そんなの素人の私がわかるわけないです(笑)
そういうのはすっ飛ばし、モノクロ写真と鉛筆画の違いを研究するところから始めました。
一応捕捉しますが、私はデッサンを行っている方を馬鹿にしているわけじゃありません。むしろ本当に上手いデッサンを観ると感動します。
デッサンの定義も様々ですし、心理的な美まで追求する上では欠かせないことかもしれません。ただ現時点の私が考える鉛筆画の表現においては必要ないと言いたいのです。
デッサンといえばナイフで鉛筆の芯を長めにするように削って、画用紙に対して鉛筆を寝かせてシャッシャッ・・・というイメージが強いですよね。
鉛筆画においてもそのテクニックは必要なのですが目的が少々異なります。
デッサンも鉛筆画もその動作で濃淡を調整しているわけですが、写真のようにリアルに表現したい場合、この動作だけでは不足です。
これはなぜかいうと
ズバリ!
白い箇所が残りすぎる為です。
具体的な描写方法は別の記事で説明しようと思いますが、デッサンの絵とリアルな絵を比べた際に、誰が見てもすぐに気が付く点はここでしょう。
全ての絵画・映像は点の集合体です。
デジカメを使ったことがある方なら『画素』という言葉を聞いたことがあると思います。一枚の写真がいくつの点で構成されているかという数値のことですね。
私は10年以上カメラ関係の仕事をしていたので写真の仕組みは理解しているつもりですが、モノクロ写真と鉛筆画の違いには4つの要素があると考えます。
これも別記事で詳しく解説しますが、一番わかりやすいのは点の隙間についてです。
どんな写真でも構いません。写真を見てください。
ほら、明るくて真っ白な所以外、どこにも隙間なんてないでしょう?
びっしりなんです。写真とは圧倒的な数の点の集まりなんですね。
最近のデジタルカメラは2000万画素、3000万画素とか平気で撮れてしまいますが、たった100万画素のカメラを使ったとしても撮れた映像は写真に見えるはずです。
これは100万画素しかなくても隙間がないからです。
仮に画素を等間隔に間引いて、隙間をたくさん作ったら一定量間引いた時点で点描のような映像になるはずです。他の処理を加えればデッサン風にもできると思います。
これは私の想像ですが、鉛筆画の上級者の方々はおそらく全員、この隙間(紙の目)の処理を様々な方法で工夫されているはずです。
綿棒やティッシュを使用して鉛筆を伸ばす方法もこの隙間を埋める方法の一つです。
さて、ここまで読んでいた方はこう思ったんではないでしょうか?
なんか理屈っぽいなー
そう思ったなら正解です。
鉛筆画は感性とか才能とか、本来絵を描く上で大事なものは正直あまり必要無いのです。
必要なのは感性より知識です。理詰めでリアルに描くこと、それに尽きます。
鉛筆で描いたデッサンもいいと思います。
眉間にしわを寄せて描いた写真のような絵よりも、ざっくり描いた絵の方が素敵という方もいるでしょう。
私はリアルを追求した鉛筆画を絵画だとは考えていませんが、理屈っぽい性格なので性に合っているし、本当に求めているテーマがリアルに描くことの先にあるので日々創作に励んでいます。
これから鉛筆画を本格的に始めようと思っている方がこの記事を読んでいただき、参考にしていただければ幸いです。
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