鉛筆画制作工程 顔~髪の描写
こんにちは!
前回は人物の顔の描き方についてお話しましたので引き続き説明していきたいと思います。よろしくお願いいたします。
さて、前回は顔の第一段階目まで描きました。
ここからの工程は人によってやりやすい、やりづらいがあると思いますので、記事を一通り読んでからやりやすい順番で描いてもいいかと思います。
髪の毛の描写
さてさてやってきました!
鉛筆画の鬼門ともいえる髪の毛の時間です!
構図にもよりますが、鉛筆で人物を描く際に一番時間がかかるのは髪の毛ではないかと思います。
特に女性を描く際は髪の毛を綺麗に描くことは重要です。
なんたって『髪は女性の命』ですからね!
早速描き始めたいと思いますが、その前に下の画像をご覧ください。
モニターに映した元画像ですね。
右が補正無し、左が若干明るさを上げています。
前回の記事でもお話しましたが、写真やモニターの再現性には限界があります。
左の画像の方が髪の毛の階調が出ていますが、黒の締りがなくて若干眠い写真に見えます。それに対して、右の画像は黒がしっかり出ていますが階調が結構つぶれています。
ではどちらの写真を見ながら描けばいいのか?
答えは両方とも見るです。
もちろん画像によっては補正しようがない場合もありますし、1枚の写真から描ける場合もありますが、工夫によって得られる情報があるのならできる限り情報を集めてから描くべきです。
最初は難しいと思いますが、描けるところはできる限り描くという気持ちで進めるのが上達への近道だと思います。
では描いていきましょう。
ここで使うのはルモグラフブラック6B~8Bです。
とりあえずざっくり描いてみましょう。
元の写真をよく見て、紙の流れに沿って描いていきます。
細かい髪の毛や毛先はこの段階では描きません。ある程度の明暗を意識しながらざっくりと描きます。
今回の画像にはほとんどありませんが、光が反射して白っぽくなっている部分はなるべくそのまま残しましょう。
これは画家さんによって白を残す派と消しゴムで消す派で別れると思いますが、私は白を大事にしたいので残す派です。写真によっては無茶苦茶時間がかかるやり方ですが、後から消す方法では完全な白を再現できないということだけ覚えておきましょう。
白抜きについてはまた別の機会にお話ししようかと思います。
暗い方の階調を作るために消しゴムを使うのはありです。
ペンタイプの消しゴムははさみやカッターで先端を簡単に切ることができます。
まっすぐ切ったり、斜めに切って使いやすいように形を調節しましょう。私は斜めに切ることが多いですね。
ある程度ざっくり描いたら綿棒を使ってみましょう。
初登場の綿棒ですが、鉛筆の粉を伸ばして階調を整えるのに使用します。
基本的に暗い部分から明るい方に向かって鉛筆を伸ばします。
言葉で説明するのは難しいですが、
・鉛筆で描写
・消しゴムや練り消しで薄くする
・綿棒で伸ばす、
これらを繰り返して少しづつ階調を整えていきます。
進めていくとこんな感じになります。
まだまだ雑に見えますが、髪の流れと明暗がしっかりわかれば大丈夫です。
画像を見るとわかると思いますが、右側の髪はほとんど描写していないですよね?これは左側にまだまだ描写する箇所があり、左側を描いている最中に右側を汚したくないからです。
いくらビニールや下敷きを敷いて描いたとしても鉛筆の粉は若干伸びてしまいます。画像の右側はすでに若干汚れてますが、先に右側の髪を全部描いていたらもっとひどいことになっているはずです。
右利きの方は左側を優先して描くことを習慣づけましょう!
顔の描写 2段階目
髪をざっくり描いたら再び顔を描いていきましょう。
この段階で顔がほぼ完成になるまで描き込んでいきます。
肌に使用するのは2H~2Bの鉛筆もしくはシャーペン、瞳・鼻の穴など明らかに暗い部分のみ6B~8Bを使用します。
顔の肌も髪を描いた時と同じように綿棒と鉛筆を併用し、階調を作っていきます。
画像をしっかり見て、影の濃さや範囲を確認してください。
とにかくムラがないように鉛筆に力を入れず、ゆっくり丁寧に描いていきましょう。
どれだけ滑らかなグラデーションを作れるかが要となります。ここはどれだけ時間をかけても構わないという気持ちで臨みましょう。
口や鼻もしっかり描いていきます。
細かい部分はシャーペンを使用しても構いません。
濃くなりすぎてしまった部分は軽く練り消しで薄くし、その部分だけ階調を作りなおしましょう。
顎の影はしっかり描けると立体感が出ます。
描くのも難しくないので鉛筆画家としてはおいしい部分だと思います(笑)
二つの画像のいいとこ取りのような形で描いてみました。
もうちょっと唇を濃くした方が良かったかもしれませんね。
少し似ていないのは、ほうれい線をあえて薄くしたためです。
女性を描く際にほうれい線とかシミとかを忠実に描いても喜ばれません。
肖像画を描くにあたって、リアルに描くことは確かに重要ですが、相手に喜んでもらえる絵が描けているかを忘れてはいけません。
今回はここまでです。
どうでしょう?肌の塗りはかなり難しかったのではないでしょうか?
滑らかなグラデーションを作るというのは全ての鉛筆画においてクオリティに直結するので何度でも練習しましょう。
皆様が充実した鉛筆画ライフを送れることを祈っています。
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