鉛筆画教室・ギャラリーの保谷アートスペース  

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【初心者必見】描いてみよう!鉛筆肖像画の制作工程③

鉛筆画制作工程 顔~髪の描写

 

こんにちは!

前回は人物の顔の描き方についてお話しましたので引き続き説明していきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

さて、前回は顔の第一段階目まで描きました。

 

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ここからの工程は人によってやりやすい、やりづらいがあると思いますので、記事を一通り読んでからやりやすい順番で描いてもいいかと思います。

 

髪の毛の描写

さてさてやってきました!

鉛筆画の鬼門ともいえる髪の毛の時間です!

 

構図にもよりますが、鉛筆で人物を描く際に一番時間がかかるのは髪の毛ではないかと思います。

特に女性を描く際は髪の毛を綺麗に描くことは重要です。

なんたって『髪は女性の命』ですからね!

 

早速描き始めたいと思いますが、その前に下の画像をご覧ください。

 

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モニターに映した元画像ですね。

右が補正無し、左が若干明るさを上げています。


前回の記事でもお話しましたが、写真やモニターの再現性には限界があります。

左の画像の方が髪の毛の階調が出ていますが、黒の締りがなくて若干眠い写真に見えます。それに対して、右の画像は黒がしっかり出ていますが階調が結構つぶれています。

 

ではどちらの写真を見ながら描けばいいのか?

 

答えは両方とも見るです。

 

もちろん画像によっては補正しようがない場合もありますし、1枚の写真から描ける場合もありますが、工夫によって得られる情報があるのならできる限り情報を集めてから描くべきです。

 

 

最初は難しいと思いますが、描けるところはできる限り描くという気持ちで進めるのが上達への近道だと思います。

 

では描いていきましょう。

ここで使うのはルモグラフブラック6B~8Bです。

とりあえずざっくり描いてみましょう。

 

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元の写真をよく見て、紙の流れに沿って描いていきます。

細かい髪の毛や毛先はこの段階では描きません。ある程度の明暗を意識しながらざっくりと描きます。

 

今回の画像にはほとんどありませんが、光が反射して白っぽくなっている部分はなるべくそのまま残しましょう。

これは画家さんによって白を残す派と消しゴムで消す派で別れると思いますが、私は白を大事にしたいので残す派です。写真によっては無茶苦茶時間がかかるやり方ですが、後から消す方法では完全な白を再現できないということだけ覚えておきましょう。

白抜きについてはまた別の機会にお話ししようかと思います。

 

暗い方の階調を作るために消しゴムを使うのはありです。

ペンタイプの消しゴムははさみやカッターで先端を簡単に切ることができます。

 

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まっすぐ切ったり、斜めに切って使いやすいように形を調節しましょう。私は斜めに切ることが多いですね。

ある程度ざっくり描いたら綿棒を使ってみましょう。

初登場の綿棒ですが、鉛筆の粉を伸ばして階調を整えるのに使用します。

基本的に暗い部分から明るい方に向かって鉛筆を伸ばします。


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言葉で説明するのは難しいですが、

 

・鉛筆で描写

・消しゴムや練り消しで薄くする

・綿棒で伸ばす、

 

これらを繰り返して少しづつ階調を整えていきます。

 

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進めていくとこんな感じになります。

まだまだ雑に見えますが、髪の流れと明暗がしっかりわかれば大丈夫です。

画像を見るとわかると思いますが、右側の髪はほとんど描写していないですよね?これは左側にまだまだ描写する箇所があり、左側を描いている最中に右側を汚したくないからです。

いくらビニールや下敷きを敷いて描いたとしても鉛筆の粉は若干伸びてしまいます。画像の右側はすでに若干汚れてますが、先に右側の髪を全部描いていたらもっとひどいことになっているはずです。

右利きの方は左側を優先して描くことを習慣づけましょう!

 

顔の描写 2段階目

髪をざっくり描いたら再び顔を描いていきましょう。

この段階で顔がほぼ完成になるまで描き込んでいきます。

 

肌に使用するのは2H~2Bの鉛筆もしくはシャーペン、瞳・鼻の穴など明らかに暗い部分のみ6B~8Bを使用します。

 

顔の肌も髪を描いた時と同じように綿棒と鉛筆を併用し、階調を作っていきます。

画像をしっかり見て、影の濃さや範囲を確認してください。

とにかくムラがないように鉛筆に力を入れず、ゆっくり丁寧に描いていきましょう。

 

どれだけ滑らかなグラデーションを作れるかが要となります。ここはどれだけ時間をかけても構わないという気持ちで臨みましょう。

 

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口や鼻もしっかり描いていきます。

細かい部分はシャーペンを使用しても構いません。

濃くなりすぎてしまった部分は軽く練り消しで薄くし、その部分だけ階調を作りなおしましょう。

 

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顎の影はしっかり描けると立体感が出ます。

描くのも難しくないので鉛筆画家としてはおいしい部分だと思います(笑)

 

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二つの画像のいいとこ取りのような形で描いてみました。

もうちょっと唇を濃くした方が良かったかもしれませんね。

 

少し似ていないのは、ほうれい線をあえて薄くしたためです。

女性を描く際にほうれい線とかシミとかを忠実に描いても喜ばれません。

肖像画を描くにあたって、リアルに描くことは確かに重要ですが、相手に喜んでもらえる絵が描けているかを忘れてはいけません。

 

今回はここまでです。

どうでしょう?肌の塗りはかなり難しかったのではないでしょうか?

滑らかなグラデーションを作るというのは全ての鉛筆画においてクオリティに直結するので何度でも練習しましょう。

 

皆様が充実した鉛筆画ライフを送れることを祈っています。

 

次の記事↓

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【初心者必見】描いてみよう!鉛筆肖像画の制作工程②

制作工程 顔の描写

 

こんにちは!

前回の記事では下書きまでの手順を説明しましたので、今回からはいよいよ実際に鉛筆で絵を描いていきます。

ここからが腕の見せ所です!

 

 

利き手の下にビニールなどを敷きましょう

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前回もお話ししましたが、紙を直接触れるのは極力避けた方がいいので描いている間は常にビニールや下敷きなどを利き手の下に敷くようにしましょう。

汗を吸うと紙が変色しやすくなりますし、描写したエリアの鉛筆の粉が伸びてしまって絵が汚くなるからです。

 

最初に描く場所

さて、ではどこから描いていきましょうか。

髪?顔?それとも背景?迷ちゃいますよね。

 

正解なんてありません!

 

と言いたいところなのですが、人物画を描く場合、失敗しづらい手順があるのでご紹介していきます。

 

肖像画を描く場合、最初に描く場所はズバリ!

 

です!

 

はい。そんな大げさに言うところではないですね(笑)

 

これには3つの理由があります。

・目は人物画において重要なパーツであること

・最初に描くことで顔全体のバランスを把握しやすいこと

・目は描くのが難しく、ミスしやすいこと

 

というか、人物画で目をミスるとそこで試合終了なんですよね。

どんなに髪の毛を綺麗に描こうとも、目の大きさや位置を間違えると人物画として破綻してしまうんです。他の場所から描き始めてうまく描けたとしても、目でミスってしまうと水の泡です。万が一、目で失敗して描き直すことになった場合、時間的ロスが少ないというわけです。

 

もちろん慣れてくれば他の場所から描き始めることもできますが、初心者の方は目から描くことをお薦めします。

 

それでは描いてみましょう!

 

目の描写 1段階目

元の画像をよく見ながら、2Bくらいの鉛筆で目を描いてみましょう。

元写真よりやや薄めを意識して描いてみて下さい。

 

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あらら、全然リアルには見えませんねw

でもこれでいいのです。

 

私は目や顔を描く工程を2つのステップに分けています。

濃淡は後から調整するので、第一段階では目の位置と形、瞳の大きさがわかるレベルで描ければ大丈夫です。二重まぶたも境界がわかる程度に描きましょう。

キャッチライト(瞳の中の光っている部分)がある場合はできるだけ白いまま残しましょう。

 

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描いたら元の画像と並べて、バランスに問題がないかをよく確認しましょう。

この先の工程でも言えることですが、ある程度描くたびに絵と元画像を並べて1m以上離れた場所から観察すると良いでしょう。

 

トレースにミスがある場合はこの段階で気付けるので違和感があれば修正しましょう。

上の画像では眉毛も多少描いていますが、これはどちらでもいいと思います。

 

問題がなさそうでしたら次に進みます。

 

顔の描写 1段階目

 

続いて目の周りの肌を描いていきます。

ここで考えなければならないのが、どの鉛筆で描いていくか、です。

 

肌の明るさを決める重要な選択なので、実際に描く前に元の写真をよく観察する必要がありますが、その前に一つお話をさせて下さい。

 

下の画像をご覧ください。

 

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右がオリジナルの画像、真ん中がオリジナルをモノクロ変換した画像、左はモノクロ変換した画像の明るさを調整した画像です。

 

鉛筆画を描く際、初心者の方は元の写真をモノクロ化したものを見ながら描くと階調が把握しやすいです。

私はPhotoshop Elementsを使用しましたが、写真をモノクロ化したり明るさ調整できるソフトなら何でもいいと思います。

 

一般的に絵を描く上で、モチーフをよく観察するというのが重要といわれていますが、写真を見ながら描く鉛筆画において、重要なのは

 

写真という限られた中でどれだけ多くの情報を把握できるか

 

これに尽きると考えます。

別の記事でお話しますが、PCモニターもプリントされた写真もデータを再現できる幅には限りがあります。それに加えて人間の目には常に錯覚が付きまといますので、本当の情報を確認するというものは難しいものです。

 

私がお薦めするのは、元の写真データをよく観察する目的で画像編集ソフトを使用することです。上記の写真のように複数の写真を用意することで初めて確認できる階調があります。

よく観察した上でどのような鉛筆画にするかをイメージできるようにしましょう。

 

さて、話を戻します。

女性や子供を描く場合、肌を若干明るめに描いた方が喜んでもらえることが多いので、顔については明るめに調整した画像を基準に描こうと思います。

 

選んだ鉛筆はBです。では描いていきましょう。

 

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この段階ではそれほどシビアに塗らなくて大丈夫です。

ただ、鉛筆の粉の量がなるべく均等になるように塗っていきましょう。

 

鼻の穴や唇もざっくり描いていきます。

写真を撮り忘れてしまいましたが、下の画像のように唇は肌よりも濃い鉛筆を選びましょう。

今回の場合は2Bで描いています。

 

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とりあえずこれぐらいまで描ければ第一段階は終了です。

お疲れ様でした。

 

今回はここまでです。

まだまだリアルには見えませんが、顔の明暗がわかるレベルで描けていれば問題ありません。油絵でいうところの下塗りのような状態ですね。

次回からはさらに描き込んでいきます。

 

 

皆様が充実した鉛筆画ライフを送れることを祈っています。

 

次の記事はコチラ!

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【初心者必見】描いてみよう!鉛筆画の制作工程①

制作工程 下書きの進め方

 

さてさて、道具も揃ったことですし、さっそく鉛筆画を描いてみましょう!

 

ここでは数回の記事に分けて鉛筆画の制作過程をじっくり説明していきます。

私は肖像画がメインなので今回描いていくのは『親子の絵』ですが、基本的な流れはどんな絵でも共通する部分が多いので、皆様は人物以外の絵でも大丈夫です。

今回私が描いていくのはこんな写真です。ブログの記事で使用しても問題のないフリー素材を用意しました。

 

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はじめに用意していただきたいのは写真、もしくは画像データです。

パソコンを使用される方は描きたいものが写っている写真データを、パソコンを使用されていない方はプリントされた写真を用意しましょう。

慣れないうちはある程度鮮明で解像力が高い画像の方がいいですね。目安として人物画の場合はまつ毛が確認できるくらいの画像を選びましょう。

 

では早速解説していきます。

 

紙の準備

ケント紙をスケッチブックから一枚だけはがします。

前回の記事でご紹介したKMK KENTを使用する場合は簡単に手で一枚はがせるはずです。

この際になるべく紙の端をつまんで剥がすか、ティッシュなどを使って直接紙に触れないようにしましょう。練習なのでそこまでシビアになる必要はありませんが、紙を直接触れないようにする習慣を今のうちからつけておくと良いですね。

 

紙を一枚はがしたら、裏面に何かしらの目印をつけておきましょう。端っこの方にレ点でも入れておけばOKです。

慣れれば紙の裏表は見てわかりますし、間違って裏面に描いてもさほど問題ではありませんが、紙の種類によっては影響が出る可能性もありますのでこれも習慣づけておきましょう。

 

トレース

さて、紙を用意したら下書きです。

正確な輪郭が取れればどんな方法でも構いませんが、今回は一番手っ取り早いモニターからのトレースで進めます。

パソコンを使わない方はコンビニ等で普通紙にモノクロ印刷した写真をライトボックスに置く、もしくは明るい時間に窓に張り付けてその上からケント紙を張ってトレースしましょう。

 

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こんな感じですね。

画像を開くソフトは何でもいいですが、私はWindowsにデフォルトで入っている『フォト』で開いています。

上手く映らない場合はモニターの明るさを調整するか、適当なフリーソフトで画像の明るさやコントラストを調整してみましょう。

次回以降の工程でも触れますが、画像編集ソフトは扱えるようにしておくと非常に便利なので何かしらインストールしておくことをお薦めします。簡易的な編集から印刷までできればいいので、Photoshop等の専門ソフトまでは必要ありません。

 

紙がたるまないようにマスキングテープを四隅にしっかり貼ります。

ここでの注意点ですが、紙の端の上下左右4mmは描写しないようにしましょう!

理由は後述しますが、どんなものを描くにしても必ず空けて下さい。

 

貼り終わったら部屋の電気を消します。

 

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トレースする際に使用するのはHB位の芯が入った細めのシャーペンがやりやすいです。あくまで輪郭を取るだけなので力を入れすぎず、ゆっくり正確に描いていきましょう。

特に人物画の場合は目鼻口などの位置がずれるとそれだけでおかしい絵になるので、正確に輪郭を取る必要があります。

 

 

 

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簡単そうでしょう?

でもやってみると結構難しいと思います。最初は正確に鉛筆やシャーペンを動かすだけでもうまくいかないものです。

部屋の電気をつけると描いた輪郭線が見やすくなるなるので、こまめに確認しながら進めていきましょう。

 

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こんな感じですね。

私が人物画を描く時に注意している点は目の幅です。画像の子供の目を見ていただくとわかりますが、目の左右に縦の線を引いています。これは目の幅を間違えないようにするための工夫です。

というのも、人物の目というのは笑ったり怒ったりすると目の形は変わりますが、筋肉の構造上、目の左右の幅は変わらないのです。ご興味があればご自身で目の周りに触れながら確かめてみて下さい。

 

カッターボードへの張り付け

輪郭を描き終えたら紙をカッターボードに張り付けましょう。

カッターボードの真ん中に紙を置き、紙の端にマスキングテープを貼っていきます。

この際、紙の端から4mmの位置にテープがかかるように貼りましょう。

先ほど紙の端を4mm空けるようにお伝えしたのはこのためですが、この部分は紙の余白となります。

 

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この余白は絵を額装する際にマット紙がかかる部分なので、描写しても意味がありません。額装しない場合でも均等な余白があった方が絵がきれいにみえるので、どんな鉛筆画でも端の部分は余白を残すことを習慣づけましょう。

ちなみに4mmというのはマット紙を購入する際に元々5mm分余裕を持たせているものが多いということと、絵のバランス的な理由で4mmとしています。

額装についてはまた別の機会にお話ししようと思います。

 

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この状態が下書きの完成となります。

ここまでの手順は慣れてしまえば1時間程度でできるようになると思います。

 

 

今回の記事はここまでとします。

次の記事ではいよいよ実際に鉛筆で描いていきます。

ここまでの作業はそれほど楽しくなかったと思いますが、下書きも重要なのでしっかりマスターしておきましょう。

 

皆様が充実した鉛筆画ライフを送れることを祈っています。

 

 

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